HYUREA代表インタビュー|空間設計に込めた“間(ま)”の哲学
- 決める前に深呼吸する場所を
- 「ここは、施術の前に深呼吸できる場所なんです」
- 「必要なのは、情報じゃなく、余白だった」
- 「だからこそ、ホテルっぽさを排除したんです」
- 「これはモノではなく、時間を贈る設計です」
- ──なるほど。「情報よりも“余白”が足りていない」って、すごく本質的だなと感じました。
- ──それって、情報を遮断するってことですか?
- ──とても繊細な設計ですね。そこまで「静けさ」を意識したのはなぜですか?
- ──ちなみに、さっきおっしゃっていた「封筒の中身」って、何が入っているんですか?
- ──たしかに、どれも「良さそう」には書かれてますもんね。
- ──単なる「場所貸し」でもない。これは、もう「美容の私塾」みたいですね。
- ──最後に、この空間をどんな人に体験してほしいですか?
決める前に深呼吸する場所を
「どんなに良いものも、使う人が疲れていたら意味がない。心が整って、はじめて美しさが根づくんだと思います。」
韓国美容ブランド「HYUREA(ヒュリア)」がソウルで提供するのは、一般的なホテルとはまったく異なる“ある空間”だ。そこは、美容施術を受ける直前に訪れる深呼吸のための場所。今回、この空間のコンセプトについて、HYUREA代表に話を聞いた。
「ここは、施術の前に深呼吸できる場所なんです」
そう話すのは、韓国美容ブランド「HYUREA(ヒュリア)」の代表。
韓国美容に関心を持つ多くの日本人から寄せられる声に、ずっと耳を傾けてきた。
あるとき「施術そのものではなく、その前後の時間」にこそ大きな意味があると気づいたという。
「よく聞くんですよ。“行ってみたいけど、ちょっと怖い” “カウンセリングの内容をすぐに消化できない” “ホテルだと気持ちが落ち着かない”…って。
施術を受けるって、ただ予約して行くだけじゃないんです。
カウンセリングの内容を整理したり、
誰かに相談せずに“自分で決める”瞬間に立ち会ったり──。
そういう時間って、本当はすごくエネルギーを使うものなんですよね。」
「必要なのは、情報じゃなく、余白だった」
SNS、動画、レビュー、PR、広告、インフルエンサー。韓国美容を取り巻く情報は、いつも“圧”がある。
「でも本当は、静かな時間の中で、心と向き合って判断したい。それなのに、観光地もホテルも、どこも“情報と演出”に満ちてるんですよね。」
そこで考えたのは「情報を与える空間」ではなく、「情報から一度離れ、自分の感覚を取り戻せる空間」だった。
「だからこそ、ホテルっぽさを排除したんです」
HYUREAが提供するのは「宿泊施設」ではない。あくまで“美容を実践するための体験空間”である。
「ホテルのような接触や演出は、あえて排除しました。おしゃれさでも、サービスの多さでもなく、“自分自身にちゃんと向き合えるかどうか”を基準にしたんです。」
だから部屋は静かで、最小限。過剰な装飾もない。その代わりにマスクや肌を守るケアセット、そして信頼できるカウンセリング先やクリニック情報がそっと添えられている。
「これはモノではなく、時間を贈る設計です」
「この空間は、“モノとしての部屋”ではありません。
“美容と向き合う時間”そのものをデザインして届けたいと思ったんです。
深呼吸するように、
自分を整えるように、
美容に向かう心の準備をする場所。」
その言葉どおりこの体験スペースは“宿泊”の名を冠したパッケージではなく、HYUREAというブランドが考える「美容との向き合い方」を体験する設計になっている。
※ここからは、対話形式でのインタビューでご紹介します。
──なるほど。「情報よりも“余白”が足りていない」って、すごく本質的だなと感じました。
代表: ありがとうございます。韓国美容って、ある意味で“完成された答え”が先に提示されている感じがあると思うんです。「この施術が流行ってます」とか、「このクリニックがランキング1位です」とか。でも本当は、誰かの正解が、そのまま自分の正解になるわけじゃない。そのことに気づける余白とか、立ち止まって考える間(ま)って、絶対に必要だと思っていて。
──それって、情報を遮断するってことですか?
代表: いえ、遮断じゃなくて「距離を取る」感じです。必要なときに、必要なものだけ手に取れる状態にする。だから部屋の中には広告も置いてないんです。代わりに「聞きたくなったら開けるだけ」のファイルと封筒をひとつだけ置いています。強制ではなく、必要なときにそっと手を伸ばせるようにしてあるんです。
──とても繊細な設計ですね。そこまで「静けさ」を意識したのはなぜですか?
代表: 実は、美容の決断って、静けさの中じゃないとできないと思っていて。たとえば、カウンセリングを受けたあと、すぐに「決めてください」って言われても、心がついていかないじゃないですか。
でもホテルだとチェックインしたらTVもあるし、スタッフとのやりとりもある。
ちょっと休むつもりが、外界に引っ張られて、気持ちがまとまらないことも多い。
だから「誰にも気をつかわずに、深呼吸して自分の言葉で決断できる」場所を作りたかったんです。
──ちなみに、さっきおっしゃっていた「封筒の中身」って、何が入っているんですか?
代表: 中には、私たちがつながっている一流のクリニックやスキンケアの現場で実際に使われている知見を「きちんと理解できる形で」まとめた、美容の本質的な資料を入れています。一般的な商品説明や広告とは全く違ってて──むしろ、ああいうのって“読んだ気”にはなるけど、実際のケアや判断にはつながらないことが多いですよね。
──たしかに、どれも「良さそう」には書かれてますもんね。
代表: そうなんですよ。あれは買ってもらいたい側の商品説明を読まされているだけで、本当の知識ではありません。でも、たとえば芸能関係の方や、プロの現場で本当に使われてるスキンケアって実は「選び方」も「使い方」も全然違うんです。そのノウハウを、わかりやすく噛み砕いてまとめて、ファイルにしたり、冊子にして置いています。しかも内容は定期的にアップデートしていて、スペースを利用された方には、最新の情報をメールで配信するようにしてるんです。
──単なる「場所貸し」でもない。これは、もう「美容の私塾」みたいですね。
代表: そう言っていただけると嬉しいです。美容って「選び方」で9割が決まる。でも多くは自分に合う選択ができていない。だから、せめてここに来た人だけには、本当に判断するための“知識のベース”を持って帰ってもらいたい。それができるだけでも、美容との付き合い方がガラッと変わると思うんです。
──最後に、この空間をどんな人に体験してほしいですか?
代表: 正直、美容に慣れていない人ほど来てほしいです。「ちょっと不安」「でも一歩踏み出してみたい」って思ってる人。「行動の直前」にある心の準備を整えるための場所です。一度ここで深呼吸してから、次のステップに進んでほしい。
「派手ではないけれど、自分と向き合える場所がある。
そのうえで、ちゃんと信頼できる情報や人につながれる。
そういう、“余白と安心”がセットになった体験をつくりたかったんです。」